Space会員である皆さんの人生インタビューを隔週でお届け!第6回目の今回は、名門高校のバレーボール部で監督を務めるナベさんをご紹介。幼い頃から悩まされていた心臓病の手術を乗り越え、競技を愛し続けるナベさん。Spaceで学んだことを活用し、指導に大きな変化があったとか!

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もくじ:ナベさん人生インタビュー

   ●   病気とバレーボール

       ●   壮絶な経験も指導に活かす

  Spaceで学び、〇〇が無くなった!!

●   指導の変化と信頼関係

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心臓病とバレーボール

 

―現在のナベさんの活動、お仕事についてうかがえますか?

 

ナベ:23年間、高校で教員をしています。バレーボール部の顧問もしています。僕自身は、中学校からバレーボールを始めて、高校は今勤務している学校でプレーをしていました。バレーボールと関わるのが好きで、お世話になった先生についていったら教員になっていた、という感じですね。

 

―バレーボールひと筋なんですね!学生の頃の戦績はいかがでしたか?

 

ナベ:中学校では僕、補欠なんですよね。バレーボール人生のほとんどが補欠です。僕は、もともと生まれつきの心臓病で、部活に入ることを拒否されました。何かあったら困ると、入部しないでほしいと言われて。それで、監督、学校へ、うちの母親が「何かあっても学校の責任にはしません」と一筆書いて、部活に入部することができました。たまたまチーム自体は強くて、県で2番になり、東海大会も行ったんですけど、全国大会に出られませんでした。最後に負けた時、このまま終わっていいのかなと思って、今の強豪校に行きたいと監督に話をしたら、「やめたほうがいいぞと(笑)。強いところだから、行ってもずっと球拾いかもしれない」と言われました。でも、それでも行きたいと伝えたら、受け入れてもらうことができました。高校では、インターハイに2回、国体に1回出場することができました。

 

 

―素晴らしい実績ですね!大学でも続けられたんですか?

 

はい。大学に行こうと思った時に、大学に提出するための健康診断で、病院に行ったら「4年後、ちょっと生きとるかわからんよ」って言われたんです。嫌だったんですが、周りに説得され手術することになり、体重も20kgぐらい落ちましたね。身長は176cmあるんですが、 40kg台まで落ちて、もうガリガリでした。

 

 

―それは大変ですね。心臓病と言われましたが、どういった症状だったんですか?

 

ナベ:先天性心室中隔欠損症という、心臓の右と左の間の壁に穴が開いている病気で、要はきれいになった血が汚い血のほうに混ざって、もう1回……効率悪く動いているっていう感じです。聴診器で心臓の音を聞くと「プシュープシュー」っていうんです。手術としては、大きな手術らしく5時間ぐらいかかりました。僕の小さい頃はいろいろとルールがあって、平日は遊んでいいけど土日は病院が休みだからダメとか、雨の日は濡れると熱を出すから遊んじゃダメとか。僕を守るためのルールだったんですけど、ある時、母親に僕が雨の日に「遊んでいい?」って言ったらしいんですよね、それで、うちの母親が「いいよ」って言ったらしいんですよ。母親は「その時の僕のうれしそうな顔が忘れられない」って言ってました。本当にうれしそうな顔をして遊びに行ったらしいです。結局熱を出したんですけど(笑)。それから「自分はこの子を守るために囲って生きていかせるっていうよりも、この子のやりたいことをやらせてあげよう」と、この時が転機だったと言っていましたね。

 

 

―本当に小さい頃から向き合ってきた病気だったんですね。

 

ナベ:はい。母親は僕が万が一試合中に亡くなっても、最後の死に目だけは見てやろうという気持ちでずっとバレーボールの試合を見に来ていたと、大人になってから知りました。心臓の手術はバレー続けるためにしたんですが、大学に行ったら、区別という名の、まぁ練習はやらせてもらえず……(笑)。運命というか、試練というか。なんで僕が心臓病になったんだろうなぁと思いましたね。親を恨んだような時期もありましたし、大学の時は本当に寂しかったというか、拗ねていましたよね。その頃、問題児のような時期がありました。だけど、3年生の時に監督に個室に呼ばれて、本気で怒られたんですよね。「まず髪の毛の色を直せ」と。真剣に叱ってくれました。そこから真面目にやりだして、今に至るっていう感じですね。

 

 

 

壮絶な経験を指導に活かす

 

―壮絶な体験をされたんですね…。今、高校生を教えていらっしゃる中で、ご自身の経験が活かされる場面はありますか?

 

ナベ:体の弱い子だとか、心臓病の子も当然いるので、それで部活に入ってくる子がいるんですけど、その時は、やっぱり自分もそうなので、はっきりと「やりたいのはわかるけど、部活をやっている時に仮に死んだとしても、親は納得するのか?」と、「それはちゃんと確認してこい」っていうようなことは、もうはっきりと聞きますね。あとは、わんぱくっていうか、大学の時にけっこう見本にはならないような人間だったので、生徒でもわんぱく坊主だとか、そんな子達とは仲良くなるというか、「まぁ、気持ちはわかるけどな」っていうような感じにはなりますね。あと、今の自分は1つのことを継続をしたことで今があると思っています。能力は高くないがバレーボールを一生懸命に継続してきただけ。でもそのお陰で人と出会い、好きな事を仕事にできたと思います。生徒にも「継続することが大切」と気付かせてあげたいですね。

 

―今年は特にコロナで変則的な動きが多いと思うんですけれども、練習はできているんですか?

 

ナベ:練習は感染対策をしながらやれてるんですが、昨年は、2月に新人戦があって、そこから大会はほぼなくなってしまいました。最後の春の高校バレー県予選は開催されたんですが、決勝で負けてしましました。ライブ中継があったので、Spaceのみなさんにも見ていただいて、応援してもらって。セットポイントは先に握ったんですけど、大逆転負けをしてしまいました(笑)。

 

―なべさんも生徒の皆さんも、悔しかったでしょうね…。

 

ナベ:そうですね。悔しかったし……。あのあとオンラインでね、ZOOMでみんなでちょっと飲み会みたいなのをやってもらって、みなさんと飲んで、Spaceのメンバーさんと。それで、あんなに泣いたのは久しぶりですね、大泣きしました(笑)。すごく印象に残る負け方だったので、引きずっている部分はありますけど、その試合に向けての準備は、Spaceで学んだこと、颯人さんから学んだことで、いい準備をして臨めました。今までとは違う捉え方ができているし、すごくよかったなと思います。勝負では負けたんですけど、たくさんいいところはあったなと思います。

 

 

―例えば、どういった準備をされていたんですか?

 

ナベ:練習の見直しをしました。WOOPの法則を教えてもらったことで、具体的にやることが明確になりました。結果に不安だとか、負けたらどうしようということよりも、今やることに集中することができたし、結果よりも準備に目を向けれるようになりました。もともと自分に自信がないので、自信との向き合い方も本当に克服できたというか、楽になれて。だから、あとはもう試合やるだけだなっていう感じでいけたのでよかったです。

 

Spaceで学び、〇〇が無くなった!!

 

―なるほど。ご自身の自信と向き合ったことで、生徒さんへの接し方も変わったんでしょうか?

 

ナベ:はい、Spaceで学んで、怒鳴ることがなくなりましたね。昔が怒鳴りすぎていたっていうこともありますけどね(笑)。厳しさの捉え方が変わりました。厳しさの使い分けができてなかったということです。今の生徒の変化で感じることは、自分たちの中から出ているやる気でやっているっていうか。昔だったら「もっと声出せ!」とか、やらせることが多かったかなと思います。何かあっても、今は「なんでかなぁ?」と考えるようになりました。練習のテンポが悪いのかとか、効率が悪いのかとか、メニューの難易度が高いことでいい集中ができていないとか。「もしかしてこうなのかな?」と、想像する力も増えたと思います。変わりましたね、本当に。

 

―すごいですね!

 

ナベ:だって、怒っていいことないですもん。Spaceの中でも、いろいろ動画とかで勉強したりとかもあるんですけど、継続しないし、威圧的にやられて生徒は動くんですけど、続かないので。あとは、失敗させる余裕がちょこっとできましたかね。生活面での失敗も含めて、見守れるようになりましたね。


 

 

 ―Spaceに入ったきっかけは、やはり指導面でのことだったんでしょうか?

 

ナベ:実は、前年度も決勝で負けたんですよね(笑)。そのチームって、すごい素材がよかったんですよ。なのに、夏の大会でまったく力を出せずに負けたんですよ。インターハイ予選だったのですが、かなりショックで。結局、力を出さなきゃいけない時に出せない、ライバル校とやるときに逆に意識しすぎるというところで、「どうしたらいいんだろう?」と。『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』という颯人さんの本と出会い、SNSを見ていて、それでSpaceっていう存在を知りました。「高校の指導者です、指導に活かしたいと思うので」っていうので申し込んだのがきっかけなんですよ。だけど、やめようと思ってたんですよね(笑)。 

 

―このインタビューが実現して良かったです!継続した理由はなんだったんでしょう?

ナベ:あるイベントに参加して、ちょっと自分なりにアウトプットして。それでやっていくうちに、なんかすごくおもしろくなって。「Spaceを私物化している」っていうワードが出てきて、だから今、私物化していますよ。ブログを上げたりとか、アウトプットするって、なんか警戒する部分もあるので。「すごいことを書かなきゃいけない」思ってなかなか書けなかったけど、1回書いてみると、アドバイスをもらえるし。だから、僕はわからないことは全部Spaceにぶつけています。つぶやきとか、ブログだとか。だから、無料でコーチングされている感じです(笑)。

 

―「私物化」っていいですね!

 

ナベ:そうですね。僕が恵まれているのが、指導者をやっているので、学んだことを生徒にすぐに実践できるんですよね。今日も保護者と生徒との三者懇談でしたけど「スポーツメンタルコーチ保護者会」になるんですよ。だいたいの生徒は、目標設定ができていないとか、設定してもやることまでは決められていないとか。そして、継続力が持てるようなメンタルというところも意識しないと目標達成できないよねとか、そんな話が多いですね。「結果にふさわしいメンタルも手に入れる」ためにはということを考えます。

 

―親御さんにも何か伝えることもあるんですか?

 

ナベ:親御さんも結果に対してのことを言う人も多いので、さりげなく伝えますね。通知表が例えば上がっていたら、「通知表が上がってよかったね」じゃなくて、「よくがんばったね」っていうふうに声をかけたり。あとは、苦手意識をどうやって改善しましょうかね、とか。特に成績の悪い子っていうのは、結果をすごく気にするし、通知表は基本的にまわりと比べて相対評価でつけてあるものなので。だから、そのへんはちょっと取っ払って、自分で決めた小さなことをクリアしていこうよみたいな、そんな話をしていますね。

 

 

指導の変化と信頼関係

 

―なるほど。学生の時からできると、すごくいいですね。

 

ナベ:心理的安全性の確保がないのに「信頼関係を作れ」「コミュニケーションをとれ」「言い合わなきゃダメだ、ぶつかることもある」とか、ついそんな言葉をかけがちなんですが「信頼関係の作り方、どうやって作るの?」と思いませんか?正直、信頼関係の作り方は、わからないんですよね。Spaceでそう言った基本を学んだことは本当に大事だと思います。

 

 

ー何かそういった難しい場面を経験したことありますか?

 

ナベ:信頼関係のひとつだと思うんですが、指導を失敗してしまったと思うことはありますよ。やったことは間違ってはいないと思うんですけど、伝え方が悪くて失敗したり、ミスに対する意識づけが上手くいかず、競技に対する恐怖心をつくってしまった失敗もありましたね。

 

 

―同じ時間を過ごしていても、生徒によって捉え方もそれぞれ違うんですね。

 

ナベ:違いますね。全員を一緒のところに持っていくっていうのはなかなか難しいですね。でも、2-6-2の法則とかで、そういうことが逆に当たり前なんだなとか。目標が勝つことでやっているので、ちゃんと考えてやっていかなきゃいけないなとは思っています。

 

―今年は、どんなチーム作りをしたいですか?

 

ナベ:そうですね。おもしろいバレーをやりたいですね。阿吽の呼吸でやるというか、ちょっとリアル『ハイキュー!!』みたいな感じですね。昨年の3年生チームもそんな感じでやっていましたけど、生徒の発想を大事にしてやっていけたらと思いますね。

 

ーここまでお聞きしたナベさんの中での指導の改革は、次で3年目ですか?

 

ナベ:そうですね、まぁだけど、うまくいかんことのほうが多いですよ、本当に。でも、今年の3年生は、試合に負けたあとにすごくいい言葉をくれて。「先生は人の思いを大切にしてくれる」とか、「寄り添ってくれる」とか、「先生の指導をちゃんとやっていれば絶対強くなる」とかって、そうやって言ってくれたのは救いでしたね。それはすごく助けられたなぁ。「そんなこと思っとったんか、もっと早く言ってくれよ」と思って(笑)。

 

―素敵なお話しですね…!陰ながらチームのご活躍を応援しています!最後に、今後Spaceでやりたいことがあれば教えてください。

 

ナベ:Spaceでは、自分を高めるために学んでいきたいと思っています。Spaceで学んだことを活かしたチーム作りっていうのを1つの特徴としたい。それが学校の中に少しでも影響が与えられるようなことができたらいいかなとは思いますけど。1つの部活の顧問の先生っていうだけじゃなくて、スポーツのメンタルコーチが学校内にいるみたいな感じもおもしろいかなとは思いますね。颯人さんとの個人コンサルは最高(笑)。本当にずっと話していられるもんなぁ。Spaceって本当に疑問を投げたらヒントとか答えが返ってくるし、こんな便利なところはないというか、すごくいいなぁと思いますね。質問してわかることで楽しくなる。そして、自分の引き出しが増える。問題の対処ができるようになる。これからも学んで活用したいと思います。