こんにちは。スポーツファーマシスト・アスリードフードマイスターの曽根ゆかりです。今年からspaceで毎月メンタルと食事についてコンテンツを配信させていただいています。今月もよろしくお願いします。
【メンタルフード】
人の心と体は密に繋がっています。「病は気から」と言われているように心の状態が体の病気を引き起こすこともあれば、体の病気が心の病を引き起こすこともあります。
体は食事によって整えることが出来ます。私たちの体は毎日の食事によって作られているからです。
体を整えて皆さんの日々の積み重ねを後押ししてくれるような食べ物を「メンタルフード」として紹介しています。
1月は、腸内環境を整えるメンタルフードとして「キャベツのザワークラウト風」を紹介しました。
いかがでしたでしょうか?
1度食べたからといって体が変わるものではありませんが、作り置きできるものなので副菜の1つや添え物として活用していただけると嬉しいです。
2月は、1年の中で最も寒い時期ですが、
今年は暖冬の影響で、異例とも言える暖かい日もあれば、急に冬の寒さに逆戻りしたりと体調管理の難しい天候です。コンディション調整に神経を尖らせる毎日ではないでしょうか。
また、選手の中には気が張り詰めた状態でリラックスできない、眠れない選手も多いと聞きます。
そこで、今月はホッとするメンタルフードを紹介します。
2月から3月にかけて、街には甘い香りのする茶色のもの(最近は様々な色があります)があふれていますね。数年前から、ピンク色のルビーという名の甘酸っぱい種類も目にするようになりました。
好きな方も多い、チョコレートです。
【チョコレートにまつわる噂】
2月のバレンタインデーから3月のホワイトデーにかけて毎年チョコレート商戦が繰り広げられています。
なぜチョコレートなのかというと、チョコレートは古くから「恋の媚薬」と信じられてきたという背景があるようです。チョコレートには他にも、「食べると幸せな気分になる」、「美容に良い」などという見出しを女性誌では目にします。最近では健康への研究も行われたり、学会でも認知機能との関係が報告されたりしています。
このような話を聞くと、チョコレートがいいのかな?と誤解してしまいますが、
これらの噂は、チョコレートの原料カカオに起因しているものになります。
【チョコレートとカカオの関係】
チョコレートを広辞苑で調べると
「カカオの種子を煎って砕いてペースト状にしたものをベースに、カカオ脂・砂糖・香料などを加えて練り固めた菓子。また、これを水や牛乳で溶かした飲料。ショコラ。」
とあるように、チョコレートはカカオを主原料として作られています。
【カカオ】 カカオの果実の中にある種子:カカオ豆が、チョコレートやココアの主原料となります。1つのカカオの実には30~40粒のカカオ豆が入っており、発酵・乾燥の作業を経て、世界各地へ出荷される発酵食品です。その後、各地でチョコレートなどに加工されます。
日本には江戸時代にオランダから伝わったという記録が残っており、私たちはカカオ豆を粉砕したカカオパウダー(ココアパウダー)や粒状に砕いたカカオニブとして購入することが出来ます。
カカオの成分としては、ビタミンは少ないのですが、マグネシウム、鉄、亜鉛、カルシウムなどアスリートに必要なミネラルを多種含んでいます。そのほかに、食物繊維やポリフェノールの一種、テオブロミンやセロトニンといった成分も含んでいます。
テオブロミンは、化学的にはカフェインに似ているのですが、その働きは少し異なり、穏やかに神経系に働きかけ自律神経を調整してくれたり、血行を良くして緊張や疲労を和らげるため、ストレスやイライラを抑えてリラックスにつながるといわれています。また、セロトニンはリラックス、安心感や幸福感をもたらすため、別名「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質の1つです。脳内のセロトニンの量と私たちの気分にはつながりがあります。
【チョコレート香るメンタルドリンク】
1847年にイギリス人が固形のチョコレートを考案するまでは、チョコレートといえば飲み物でした。媚薬のように使われていた頃はカカオパウダーのみの甘くない飲み物として、チリやその他のスパイスが加えられて飲まれていました。
そこで、今回のメンタルフードはメンタルドリンクとして紹介します。
「ホッと落ち着くチョコレート香るドリンク」
・材料
カカオパウダー(ココアパウダー) 大さじ1杯
ミルク(お好みのミルク)100~150mL
甘味 適量
・作り方
1.カカオパウダー(ココアパウダー)をカップに入れて、少量のお湯で溶かす。
(この工程は、カカオパウダー(ココアパウダー)がダマになるのを防ぎ、ミルクと混ざりやすくするためなので、面倒な方や気にならない方は省略してもいいですが、溶したほうが美味しく飲めます)
2.ミルクと甘味を1に入れる。
3.混ぜたら完成です。
(写真は、上記の材料にシナモンパウダーを振りかけています。)お好みでスパイス(シナモンパウダー、ジンジャーパウダーなど)をプラスしても美味しいです。
ただし、たくさん飲めばいいかというとそうではありません。リラックス効果よりも食物繊維によってお腹が緩くなるなどマイナス面が出てきます。1日1杯までにしましょう。
また、大切な時期に初めて試すことはお勧めしません。自分に合うか確認したうえで上手に活用しましょう。
・チョコレート感を強くしたい場合、ミルクは100mLで作るとより感じられます。
・ミルクに無調整豆乳を使用して大豆感が強い場合は、甘味は甘酒がおすすめです。多くのスーパーで見かける「麹甘酒」や「麹だけで作ったあまざけ」ですと30mL前後入れてみてください。
・ホットドリンクの場合は、全ての工程を鍋で作ってもいいですし、全てを混ぜた後に電子レンジで温める方法もあります。
※注意が必要な方
・ココアは商品によって乳成分が含まれていることがあります。牛乳アレルギーのある方は「100% pure cocoa」又は「純ココア」とあるもので材料表示を確認して購入しましょう。
・片頭痛持ちの方やニッケルの金属アレルギーのある方は注意しましょう。
体調を崩してしまっては意味がないので無理に摂ることはせず、他のメンタルフードを活用しましょう。ニッケルアレルギーは気づきにくいのですが、玄米が体に合わない方はニッケルアレルギーの可能性もありますので注意しましょう。
ココアのメーカーやミルクの種類で風味は変わってきます。好きなスパイスを入れたり、自分好みのホッと一息つく1杯にしてくださいね。今回はドリンクにしましたが、ヨーグルトにかけて食べている選手もいます。
メンタルフードが皆さんの積み重ねの後押しとなりますように(^^)