プロスポーツメンタルコーチの増田良子です。隔月で「親」についてのコンテンツを配信させていただいています。
今回は「からの巣症候群」についてです。春からの新生活への準備が始まる時期、いろんな環境の変化がありますよね。子どもが巣立つ時がやってくるのもあっという間です。その時のために出来ることをお伝えしたいと思います。
■からの巣症候群ってなに?
「からの巣症候群」とはなんでしょうか。耳にしたことがある人も多いと思います。からの巣とは、ヒナが巣立って空っぽになった巣のことです。子育てを終えたあとに、何に対してもやる気が出なかったり、涙が出たりといった、抑鬱状態になることをいいます。一般的には、子どものことを優先して頑張ってきた母親に多く見られます。
「子どものため」を優先した生活を長年してきて、いざ子どもから手が離れた時に何をしたらいいのかわからなくなったり、自分が何のために生きているのか存在価値がわからなくなったり、これまでと変わらない生活を続けている旦那さんに腹が立ったり、抱える想いは人それぞれです。身体にも症状が出てしまうこともあります。慢性的な倦怠感だけでなく、息苦しさを感じたり、頭痛、吐き気などを感じる人もいます。
子どもが大きくなって手が離れたら、あんなことしよう、こんなことしようって思っていたはずなのに、喪失感が大きくて心に穴が空いたみたいになって、何をする力も出なくなってしまいます。母親の「燃え尽き症候群」とも言われます。
■からの巣症候群になりやすい人の特徴
誰も「からの巣症候群」になりたいと思ってなる人はいません。ですが、誰でもなる可能性があります。
そして、なりやすい人にはこんな特徴があるとも言われています。
・子育てが生きがい
・人付き合いがあまり得意ではない
・どちらかというとインドア派
・趣味がない
・夫との関係がうまくいっていない
子どもの成長を喜びつつも、心のどこかに、ずっと自分が世話をしたい、守りたい、という思いが強くある人は要注意です。
■からの巣症候群にならないために
では、からの巣症候群にならないために出来ることには、どんなことがあるでしょうか。
① 自分と子どもの間の線引きをする
小さい頃に手取り足取りなんでも世話をし、教えて、大切に大切に育ててきた子どもも、自分の足で立ち、歩き、自分の意思で選択して生きていくようになります。「親から見たら何歳になっても子どもは子ども」とよく言われますが、それはまた別の話です。困った時は助けるし、いつでも誰よりも味方であることは変わりませんが、子どもが親の手から離れて、自分で様々なことを経験し、時には悩んで生きていくのは、自然なことです。
この時に親子関係に線引きが出来ず、なんでもかんでも親が干渉していては、子どもの自立を阻むことになります。また、「子どものために、、、」と頑張ることが生きがいになってしまい、子どもが巣立った時に、何をすればいいのかわからなくなったり、自分の存在価値がわからなくなったりして、うつ状態を引き起こすきっかけにもなります。
子どもに必要とされることだけに存在価値を見出し「依存」の状態になってしまう母親も多いと言われています。子どもに依存した状態になると、子どもが喜んでくれることに幸せを感じ、子どもが嬉しい時には自分も嬉しくなり、悲しい時は悲しくなってしまいます。そうならないためにも、子どもと親は完全に別の人間であるということを再認識し、子どもに感情移入せずに客観的な目線で自分自身のことも、子どものことも見ることを意識したいですね。
② 子どものこと以外に夢中になれる対象を持つ
どんなことでもいいので、子育て中から子どものこと以外に夢中になれることがあるといいです。例えば、パン作りが趣味でいろんなパンを焼くことにチャレンジする、とか、ガーデニングが好きでたくさんのハーブを育ててみる、とか。
夢中になれる対象が子どもだけだと、その対象が目の前からいなくなってしまった時に心が空っぽになってしまうのは当然のことです。
もし、何も趣味がない人は、子育て中には忙しくて出来なかったことや、諦めてしまったことにチャレンジするといいでしょう。何歳になってもチャレンジできることはたくさんあります。
子育てを終えた友人と旅行に行くのもいいでしょう。正社員で働くことを決めた人もいます。ボランティア活動を始めた人もいます。テニスやゴルフなどのスポーツを始めてキラキラしてる人も知っています。自分がやってみたかったことや、これからやりたいことを書き出してみるとワクワクするからオススメです。
③ 将来の設計図を立てておく
年齢が減ることはないので、必ず子どもが巣立つ日はやってきます。子どもが家から出ていく日が来たらどんな生活をするか、考えておくのもひとつの手です。夫婦仲がいいなら、2人で一緒にやりたいことリストなどを作ってもいいかもしれません。夫婦2人になった時のいいイメージが湧かない人は、離婚とは言わないまでも別居を考える機会になる可能性もあります。先を見通しておくと準備できることもあります。(決して別居を推奨しているわけではありませんが、お互いにとってプラスになるのならその選択肢もあると、私は思っています。)
自分個人の人生としても、子育てから手が離れたらどんな暮らしをしたいか計画を立てておくのは、子どもが巣立った後のことを想像出来るので、からの巣症候群の予防に役立ちます。
■からの巣症候群になってしまったと感じたら
まずは、そんな自分の気持ちを全部受け入れるところからスタートしましょう。自分は今ものすごく寂しい、何にもしたくないくらい空っぽ、そんな自分を否定する必要ありません。涙が出る時は泣いてもいいんです。そうやって今の自分を受け入れながら、少しずつ出来ることをやっていきましょう。
寂しいのは、全力で子どもに向き合ってきた証拠です。子育てを頑張った自分自身をたくさん褒めてくださいね。
さて、今回は「からの巣症候群」について書かせていただきました。母親の皆さん、自分の人生を大切にして生きましょう!!
【完全無料】息子、娘の弱ったメンタルを強くする一流アスリートの親になる7つの秘密
増田良子(ますだりょうこ)
一般社団法人スポーツメンタルコーチ協会公認プロスポーツメンタルコーチ。
主に、アスリートの子どもを持つ保護者や、子育てに奮闘中のお母さんへのコーチングを行っています。「ママの心を軽くするランチ会」を月に1度開催。オンラインサロンspaceでもママ友会を開催しています。