今回のSpaceファミリーインタビューは、剣道の指導者として活躍する、あっこねぇこと橋本彰子さん!
中高大と厳しい環境で技術とメンタルを鍛え、メキメキと成長を続けていきますが、社会人で「2年間、一度も勝てなかった」という暗闇の時期を経験。メンタルの重要性を知る橋本さんに、現在のアロマメンタルコーチとしての活動を含め、たっぷりとお話し伺いました。
※トップの写真は、監督として参加した国体近畿ブロックで優勝した時のもの。
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橋本さんインタビューもくじ
・面を付けさせてもらえない…中高で厳しい指導を経験
・初めて剣道を楽しめた大学時代
・2年間の勝てない時期がメンタルを学ぶきっかけに
・アロマを使ったメンタルコーチング
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面を付けさせてもらえない…中高で厳しい指導を経験
ー本日はよろしくお願いいたします。
橋本さんは、剣道の指導をされてらっしゃるとお聞きしています。
橋本:はい。京都府の国体剣道の成年女子監督をしています。
あと龍谷大学剣道部のコーチもしています。
ー監督やコーチを、始められたのはいつですか?
橋本:大学のコーチは去年の4月です。活動もコロナで1年間は全然出来ていなかったので、本格的には今年の4月からという感じですね。国体の監督は平成25年からで、今年で9年目ですね。
ー監督とコーチをされてらっしゃるということは、ご自身も濃い剣道人生を歩んで来られたかと思うんですが、始めた頃から聞かせていただいてもいいですか。
橋本:はい。剣道を始めたのは中学校1年生からです。それからずっと、中学校も高校も大学も剣道部ですね。社会人に入っても実業団に行って剣道三昧でした。
ーきっかけは中学校の部活動だったんですね!中学校の戦績は、どんな感じだったんですか。
橋本:剣道って剣道場、町道場があって、周りは小さい時からやっている子達ばかりの中に、中学校から始めた私がポツンといる感じでした。試合もほとんど出ていないです。
なのでもう、訳が分からないまま3年間が終わった感じでした。
高校に入ってからかな。本格的にやったという感覚は。
とにかく追いつきたい!その人達に勝ちたいとかではなくて、追いつきたいなっていうのがありました。途中で辞めるのも中途半端だし、追いついて一緒に試合出たいなっていう、そんな理由から京都で1番強い高校に入ったんです。
そこは私は自分で行こうと思ってなくって、親や道場の先生が「行きなさい」っていう形がきっかけだったんですけど。
ーどうして周りに強豪校を進められたと思いましたか?
橋本:周りから聞いたところ「あの高校に行ったらこの子は強くなるよ」と思われてたみたいですね。まだ伸びるっていう。
自分では全然そんなこと分からなかったんですけど。なので入ったら入ったで大変でしたよ。めちゃくちゃ弱いし、試合のやり方もわからないし・・・。
やっぱりそういう強豪校だから色んなところから強い選手が来るわけなんです。
余計にギャップを感じましたよ。どないせぇちゅうねん!みたいな(笑)
ーそれは、厳しい環境ですね。何か高校時代の思い出はありますか?
橋本:最初はやっぱりね、あまりにもレベルが違いすぎたから私だけ面を着けさせてもらえなくて、廊下で1人で素振りしとけ!っていう感じでした。
それが本当にしんどくて手から血が出るし、ほったらかしにされるし。
ーうわ!厳しいですね。
橋本:なのでその時にもうメラメラーーーってきて、絶対にみんなに追いつきたいって。絶対強くなってやる!っていう気持ちがめきめきと芽生えたのを覚えているというか。
それからは学校の稽古後も、家に帰ってからランニング、素振り、筋トレとか出来ることはやりました。今から考えたらようやったなって思うくらい。
今では考えられないけど、でもそれぐらいしないとやっぱり追いつけへんなと思っていました。
ーすごい努力ですね。道場の中で面を付けられない期間は、どのくらいあったんでしょうか?
橋本:えーっとね、1年生になって1ヶ月ぐらいあったんちゃうかな。
いつ何て言われたのかっていうところまで覚えてないんですけど、「面付けていいよ」っていうのが出たんでしょうね、お許しが(笑)
でも、練習に入っても足手まといやなーっていうのが空気感であるんですよね。
足手まといにならないように、先輩の迷惑にならないようにっていう事ばかり考えてましたね。
ーその足手まといになる感覚というか、「迷惑をかけちゃいけない」っていうのはどういった場面で思うんですか?
橋本:例えば、私が先輩の基本打ちを受ける側で、面を打たした後にしっかりよけないと先輩と体がバン!当たるんです。それをササッと除けないと、先輩側がものすごくしんどい訳ですよ。このタイミングとか、技の稽古でも真っ直ぐに面を打たなかったら、技が活きてこないというか。間合いやタイミングってすごく大事なんです。基本打ちと技の稽古は、気がバラバラになっちゃうと全てが乱れる。なので、そこをしっかりしないと足手まといになるんです。先輩にしたら「お前ちゃんと受けろや!」みたいな感じですね(怖)
ーただ単に打ち合えばいいわけではなく、間合いが大切なんですね…。
そういった状況から、どのようにして剣道人生を充実させていったんですか?
橋本:そうですね。高校の時にとにかく追いつきたいっていう気持ちがあって必死に過ごした結果、高校1年生の終わりぐらいにレギュラーに入れたんです。
2年と3年でインターハイにも行かせてもらいました。
3年生の時のインターハイ予選の個人戦、負ける気がしないってこういうことなんやっていう試合だったんです。
もうほんとに。なんやろなあれは?っていうぐらい。
決勝戦も、緊張っていうよりは「私の試合を見て!」っていうぐらい。
周りの観客全員私見てな!っていうぐらいの自信。
最後というよりも、高校3年間の稽古をこの4分間で全て出すんや!っていう気持ちがあったかな。
ーなるほど。そこまで強気で挑めたのは何が理由だったんでしょう?
橋本:自分の中では、誰にも負けないぐらいやってきたって思っていたので、もうそこだけですね。
何とか追いついて追い越したいっていう気持ちをずっと持ってやってきたから。
中学校の時に歯が立たなかったメンバーとも同じチームを組んでインターハイにも行けたので。私にしたら夢のような子達と一緒に戦うことが出来たのは嬉しかったですね。
高校の中ではやっぱりインターハイいくっていう目標があったので、そこは達成出来ました。そして、大学ではどうしようかなって思った時に、進学先はかなり迷いましたね。やっぱり大学の剣道って、関東の方が強いんですよ。体育系、体育大学とかが強いので、そっちに行って挑戦しようか関西に残ろうか、と。
私は関東で挑戦しようと思っていたんですけど、親が大反対でした。
京都から出たらアカンみたいなね。振り切って行くべきなのかって考えたんですけど、関西に残って地元の龍谷大学に進学をしました。
初めて剣道を楽しめた大学時代
ー大学の競技生活はどうだったんですか?
橋本:大学はすごいユルユルで(笑)
「この稽古で大丈夫かな?」って最初は思ったんですけど、剣道を楽しめましたね。
それまで、楽しいなって思ったこと1回も無かったから、のびのびと楽しく出来たっていうか。だから今でも剣道を続けているのかなと思います。
高校の時までは『やらされている』っていう気持ちでやっていたのが、大学に入ってから自分で考えてやったりとか、稽古内容こうしてしてやろうとか、そういうことを自由にさせてくる学校だったので、それがよかったと思います。
西日本学生大会っていうのがあるんですが、私が2年の時に3位になったんですよ。
「よう3位までいったな」と皆がびっくりするぐらい。実力よりもチームワークがすごく良くて。ただ単に仲良しではなく、本当にチームワークが良かったので、その勝因はチームワークやなって今も思っています。
ー剣道は個人競技のイメージが強いですが、チームワークはどういったところで感じたんですか?
橋本:例えば先鋒・次鋒・中堅・副将・大将という5人制なんですけど、例えば先鋒が負けてきたとき、2本負けしてきたとしても、その戦い方が重要です。
2本負けてしまったとしても、3分間必死で食らいついて頑張って来てくれた姿を見ていると、「私が何とかしたる!」って思えるんです。
何とかして後ろに繋ぐっていうか。先輩も後輩も「これだけ頑張って自分に繋いで来てくれたんやから」という気持ちが5人共にありましたね。
飲み会もしょっちゅうしていたし、意思疎通がしっかり出来ていましたね。
自分の思ってること、先輩が私たちに感じてること、ほんとに腹を割って話しが出来ていたので信頼関係がすごく出来てました。
ーその経験が、今のコーチ業とか監督業につながっているんでしょうか?
橋本:やっぱり会話するってことがすごく大事やなって。改まってミーティングしましょうと言うのでは無く、何気ない会話でも良いから話す。
今、母校にコーチで行っているんですけど、コーチと選手の隔たりっていうのはあまり作りたくなくって。何でも話しが出来る雰囲気をあえて作るようにしています。
例えば道場に入って、学生たちが群がっているところに私が行って、元気か?とか体調のことや調子どうや?とか。
自分から声掛けにいくようにはしています。道場に入ってコーチが怖い顔して座られたら嫌やろなって思うし、別に偉そうにする必要も無いと思いますしね。
ー大学卒業後は、競技は続けたんでしょうか?
橋本:はい、元々は京都府警の剣道特練生として行けって言われていたんですけど。
もう朝から晩まで剣道するのは嫌やなって思ってました。剣道辞めるっていう選択は無かったので、仕事と剣道を両立できそうな大阪にあるフットワークエクスプレス株式会社という強い実業団(現:トールエクスプレス株式会社)へ行きました。
でも…蓋を開けたら午前中剣道して昼から仕事。余計しんどいみたいな(笑)
朝練では朝5時起き。試合前はずっとそれがあったので、2部練でした。
朝練して仕事して、夜にも稽古する。警察よりしんどいかも…みたいな。
慣れるまでは大変でしたね。
ーそれはまた、厳しい環境に飛び込まれたんですね。
橋本:そうですね。その頃は実業団の女子で全国大会がなかったので、近畿大会が1番大きい大会だったのですが、常に優勝するチームでした。
あの頃は負けたらどうしようっていう気持ちが無くって。
「あなたには負けませんから!」っていう気持ちの方が大きかったですね。
2年間の勝てない時期を乗り越えて
ーメンタル面も充実しているというか、とても強かったんですね。
橋本:ノッている時はめっちゃ強いと思います。ただ実は、社会人になって2年間勝てない時があったんです。練習試合も公式戦も何もかも勝てない。全部負け。何があったのか自分でも分からないんですが、何かもう、暗闇にはまってしまっていたんでしょうね。
その時はチャレンジどころではなく、どうしよう・・・何をしても勝てへんし・・・
どう考えて何やっても空回りというか。すごく辛かったです。
ー2年って長くないですか…それが明けた時は、どんな瞬間だったんですか。
橋本:うーん多分そのスカッと勝てた感じじゃなかったと思います。
取り戻したとかじゃなくて「もしかしたらこの暗闇から抜けられんのかな」と思いました。そんな事があったから今に繋がっています。
メンタルを勉強していたり、メンタル面を教えて下さる方がいたら、もっと早かったんやろうなと考えましたもんね。
ーなるほど!いまのお話を聞くまで、こんなに精神的に強い方が、何故改めてメンタル面をを学んでいらっしゃるのかなっていうのがすごい気になってましたが、納得しました。
橋本:去年の9月からSpaceに入らせて頂き、すごく「考える」ことが増えたんですよ。颯人さんから「こういう時はどう思いますか」とか、「目標に対してこれはどういう風に何を考えますか」とかすごい細かく課題が出るので、色々と気付くきっかけになりますよね。そこまで考えた事がないことでも、「あ、ここまで考えなあかんねや」っていうような事を思うようになりました。
考えて自分の言葉で文字にするっていう事がすごく増えたので、学生たちに伝えることっていうのもやっぱり自分の言葉でちゃんと整理して伝えられることが出来るようなりました。
ーなるほど。Spaceを活用する前と後で、変化したと思われることは他にありますか?
橋本:そうですね。あと目標を設定して、現状からその間にどう行動するのかを、細かく考えて書き出す作業は特に勉強になりますね。学生にも、言葉にさせる機会が増えたと思います。自分の想いを言葉にすることで全然変わってきますよね。
頭で考えているだけと、言葉にして伝えるっていうことって、全然違うと思うんです。
練習試合1つにしても稽古1本にしても、まずどうやって、どう感じたっていうことを質問して言葉にしてもらうことを大事にしています。
例えば、試合が終わってアドバイスを聞きに学生が来るのですが、今までだったら「ああやで、こうやで。この打ち方は・・・」とか「この面はこう打って・・・」と言っていましたが、私は最初に「どうやった?」って聞くんです。
学生の思いを聞いてから、必要な話をすることを心掛けています。
一方的にこちらが話をしても、実はものすごく意識をして試合をやっていたのに「見てくれて無い」と感じてしまったら、その後の話は伝わらなくなってしまうので。
アロマを使ったメンタルコーチング
ーコーチや監督以外にも、メンタルコーチとしての活動もされているんでしょうか?
橋本:はい、アロマを使ったメンタルコーチニングをしています。アロマって癒しのイメージがありますが、やる気を起こしてくれるような効能があるアロマもあるので、そういったものを活用しています。
1人1人その選手に合った『お守りアロマ』を作っていて、コーチングセッションの最後に短いアフォアメ―ションをします。
例えば「私は試合当日自分の力が120%発揮できました」と言葉を唱えながら香りを嗅ぎます。香りと記憶って繋がっているので、脳の仕組みを利用して、香りを使って良いイメージの記憶を入れ込む感じですね。
自分が優勝した時の成功体験のイメージ持ってねと言って、香りを嗅いでもらう場合もあるのですが、優勝したシーンをイメージしてもらいアドレナリンが出るというか身体がわーってなるようになるまでやってもらうんです。
それを「香りのトレーニング」って私は言ってるんですけど、香りを嗅いだだけで気持ちが上がって行くようなメンタルトレーニングですね。
ーアロマは、リラックスのイメージが強かったんですが、奮起したい場面でも使えるようにできるんですね!アロマは、どのくらいされているんですか?
橋本:アロマメンタルコーチングっていう学びっていうのは無くって、アロマの勉強はずっとしていたんです。アロマとコーチングを結びつけたら良いかなって思ってやりだしたのが去年かな。いい匂いのものが大好きだったので、まずそこから入りました。
効能や薬理作用があることを知って、勉強を始めました。
ここに2年ぐらいで潜在意識とアロマを組み合わせた勉強をして、そこからメンタルと組み合わせた感じですね。
ーオリジナルで面白いですね!資格も持っていらっしゃたりするんですか?
橋本:はい。アロマコーディネーターと嗅覚反応分析士を持ってます。
簡単に言うと8本のアロマを好きな順番に並べるだけで、その人の身体の具合であったり、メンタルの部分をグラフになって見られるんです。スポーツに限らず、仕事や家庭生活でもメンタルが整っていれば気持ちいいじゃないですか。
やっぱり笑顔で過ごせるとか、幸せな気持ちでいられることが大切だと思います。
1人の女性が幸せになると、10人が幸せになるって言いますよね。
お母さんがイキイキしてたら子供たちや旦那さんも楽しいし嬉しいし、そういう輪が広がっていったらいいなと思います。
ーありがとうございます。剣道の監督に加えて、アロマを活かしたコーチングと大変勉強になりました!最後にそれぞれの今後の目標を教えていただけますか?
橋本:剣道については、もちろん勝つことも大切ですが、技術だけを教えるのではなく、学生が卒業して社会生活に活かせる生き方を伝えていきたいなって思います。
剣道は、おじいちゃんおばあちゃんになっても出来ます。
女性でも60歳超えた方が八段審査っていう最高峰の審査を受けたりしたはるんですよ。
なのでやっぱり女性も生涯続けていって欲しいし、すごい強い子が燃え尽き症候群で辞めたりしているのを見てきているので、本当に勿体ないなと思います。
そういう子たちも減らしたいなと思ってるし、おばあちゃんになっても続ける仲間を増やせたらいいなと思います。Spaceではアロマ部をつくって活動させてもらっていますが、まだなかなか活動できていないので、活発に発信をできたらいいなと思います。
Spaceでアロマを使って、色んな競技に役立てるような何かをお伝え出来たら嬉しいです。アロマを知らないっていう人も沢山おられると思うので、自分も勉強しながら伝えていけるといいですね。
わたしの名前は『彰子』っていうんですけど、4年前に亡くなった父がつけてくれた名前なんです。人が成長する過程を一緒に歩み、共に感動し、世に知ってもらえるような人を創るサポートが出来る人であれ!という意味が込められています。
メンタルとアロマのコーチングを通じて、名前にふさわしい人生を歩んでいきたいなと思います。
最後にアート筆文字で描きました「縁」を贈ります。
どうもありがとうございました。