こんにちは。スポーツファーマシスト・アスリードフードマイスターの曽根ゆかりです。今年からspaceで毎月メンタルと食事についてコンテンツを配信させていただくことになりました。よろしくお願いします。


オリンピックイヤーの2020年、皆さんはすでに目標に向かって日々の積み重ねをスタートしていることと思います。これから紹介するメンタルフードがメンタルを整える1つのアイテムとして役立つことを願っています。

【メンタルフード】
人の心と体は密に繋がっています。「病は気から」と言われているように心の状態が体の病気を引き起こすこともあれば、体の病気が心の病を引き起こすこともあります。体は食事によって整えることが出来ます。私たちの体は毎日の食事によって作られているからです。体を整えて皆さんの日々の積み重ねを後押ししてくれるような食べ物を「メンタルフード」として紹介します。

メンタルと体の関係と言えば、何が思い浮かぶでしょうか?自律神経、腸内環境、セロトニン…などでしょうか。今回は、腸内環境を整えることにつながるメンタルフード:キャベツとザワークラウトです。

【腸内環境について】
ここ数年、メディアでも多くとりあげられ、腸内環境とアレルギー(花粉症など)や免疫力との関係、健康の維持や向上につながるということが認識されるようになってきました。さらに、脳腸相関と言われるように脳ともつながっており、脳から命令が出されるとともに腸からも情報が脳に伝えられ、情報を共有しています。
腸から脳に伝えられる情報物質は、腸内にいる腸内細菌によって作られており、そのうちメンタルと関係している物質として知られているのがセロトニンです。セロトニンは、神経伝達物質の1つですが、リラックス、安心感や幸福感をもたらすため、別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。

皆さんが食べた食事をもとに腸内細菌がセロトニンの元を作り、それが脳内に届くとセロトニンとなってリラックスや幸福感などの感情が生まれます。そのため、腸内環境が良いと十分な量のセロトニンの元が脳へ送られるため、メンタルの安定につながりますが、腸内環境が悪いとセロトニン不足でイライラや不安感につながります。

【キャベツと腸内環境】
キャベツは、ビタミンC、ビタミンK、葉酸、食物繊維などアスリートにとって重要な栄養素を多く含む野菜として知られています。また、キャベジンとも呼ばれているビタミンUは胃を保護する成分として胃腸薬に使われています。

腸内では、善玉菌と悪玉菌がそれぞれの菌を増やすために闘っていて、食事のとり方などでその割合は変動します。腸内環境を良くするには、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要です。その善玉菌を増やすためには、食物繊維を含む食材、発酵食品、オリゴ糖を含む食材を摂るとよいといわれています。キャベツはその3つの中の食物繊維とオリゴ糖を含んでいます。さらに、ザワークラウトはキャベツを発酵した食品なので、これによって発酵食品という要素が追加されたキャベツになります。

【ザワークラウト】
ザワークラウトとは、ヨーロッパで食べられているキャベツと塩を混ぜて発酵させたもので、「欧米の漬物」と表現されることもあります。材料に酢は使っていないのですが、少し酸味があります。この酸味は、発酵によってできた乳酸菌によるもので、別名「乳酸キャベツ」と呼ばれることもあるようです。キャベツの乳酸菌は、ヨーグルトなどの動物性の乳酸菌と比べてタフであるため、腸内まで届きやすいといわれています。

「ザワークラウト」はヨーロッパ、特にドイツの家庭料理として知られており、家庭で作ることもできますし、日本でも輸入食材を扱っているお店で簡単に手に入れることが出来ます。材料が少なく、工程が簡単で、分量をきっちりと量らなくてもよいこともおすすめポイントです。

〈ザワークラウトの一般的な材料と作り方〉・材料


キャベツ、塩(キャベツの2-3%の重量)、香辛料(クミンシード、キャラウェイシードなど)
のみです。
香辛料はなしでも問題ありません。

・作り方
1.キャベツは千切りにします。
2.材料を全て混ぜて、保存瓶に入れて発酵するまで直射日光が当たらない場所に置いておきます。
3.発酵したら出来上がりです。

ザワークラウトは簡単ではありますが
発酵させるための時間と発酵するまでに雑菌が繁殖しないように注意が必要です。
そのため、これらがハードルとなってしまう人もいます。
最後に、その2つの手間を省いた「ザワークラウト風キャベツ」紹介します。

〈ザワークラウト風キャベツの材料と作り方〉
ザワークラウト風キャベツは、酢やビネガーによってザワークラウトに似た酸味を加えたものです。
発酵食品の酢やビネガーを加えることで、善玉菌を増やす要素の3つが揃い、防腐効果も期待できます。

・材料
キャベツ;500g、塩:ひとつまみ、香辛料(無しでもO.K.)、酢:大さじ3~5杯(お好みの酢加減で)
ジッパー付きの保存袋

・作り方
① キャベツを千切り~ざく切りにします。(薄いほど早く味がなじみます)
包丁が苦手な方は100円ショップ等で手に入るスライサーを使う方法もあります。
② ジッパー付き保存袋に、①のキャベツと塩を入れて袋の口を閉じて振り混ぜます。
(余分な水分が出る場合は捨てます)
③ ②に残りの酢と香辛料を入れて、袋の口を閉じて振り混ぜます。
④ 混ぜた後、余分な空気を抜いて、袋の口を閉じ直し冷蔵庫で保管します。

全体がなじめば出来上がりです。なじむまで待てなくても、サラダとして食べることができます。

(写真は、香辛料としてクミンシードを入れたものです) 冷蔵庫で1週間くらいは日持ちしますが、フルーツ酢など甘い酢を使う場合は、穀物酢に比べて防腐効果が弱いとされているので早めに食べきりましょう。


香辛料の代わりにローリエの葉や鷹の爪を入れたり、カレーパウダーを入れたりすると風味を変えることが出来るので好みに合わせて飽きずに楽しめます。

 キャベツはこれから柔らかくて美味しい春キャベツの季節になります。キャベツは芯の部分にも栄養素が含まれていますので、捨てずに薄く切って葉の部分と一緒に食べましょう。

 キャベツをメニューに取り入れて、腸内環境を整えることでメンタルのベースアップにつなげてください。メンタルフードが皆さんの積み重ねの後押しとなりますように。