こんにちは。スポーツファーマシスト・アスリードフードマイスターの曽根ゆかりです。spaceで毎月メンタルと食事についてコンテンツを配信させていただいています。今月もよろしくお願いします。

【メンタルフード】

人の心と体は密に繋がっています。「病は気から」と言われているように心の状態が体の病気を引き起こすこともあれば、体の病気が心の病を引き起こすこともあります。

体は食事によって整えることが出来ます。私たちの体は毎日の食事によって作られているからです。

体を整えて皆さんの日々の積み重ねを後押ししてくれるような食べ物を「メンタルフード」として紹介しています。


 9月に入り、急に涼しくなりましたね。夏が遅かったので残暑の期間は長いのかなと思っていたこともあり少し油断していました。皆さん、体調はいかがでしょうか? 初秋は、夏の疲れが出たり、台風による気圧の変化に加えて気温の変化と体にとっては対応に忙しい時期です。ご自身の体の声にいつも以上に耳を傾けて、休めるときはゆっくり過ごして体調を整えましょう。

 秋は「実りの秋」と言われるように、穀物や果物などの収穫が多い季節で1年の中で最も旬の食材が豊かです。秋の食材は夏の疲れをとる働きと、これから迎える厳しい冬に備えた体作りに役立つといわれます。
 今回は、秋の実を乗せたメンタルフードを紹介したいと思います。



【脳と脂質】
 三大栄養素の一つである脂質は体にとって重要な栄養素です。脂質はエネルギー源であるだけでなく、体温維持や内臓を守るクッションの役目を担ったり、体の細胞を包む膜や性ホルモンの材料となります。メンタルと関係している脳に注目してみると、脳の約50-60%は脂質で、神経組織を作る材料でもあり脳機能維持に重要な役目を担っています。例えば、神経伝達のスピードに関わる部分の主成分も脂質です。

 脂質は構成する脂肪酸の種類によって分類されます。この脂肪酸には、体内で合成できる脂肪酸と合成できない脂肪酸があり、後者を必須脂肪酸と呼びます。必須脂肪酸には、オメガ3(オメガ3系脂肪酸)とオメガ6(オメガ6系脂肪酸)があり、体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。



【オメガ3とオメガ6】
 オメガ3とオメガ6は、お互いに逆の作用(拮抗作用)を担っており、オメガ3はブレーキ、オメガ6はアクセルと例えられることもあります。ブレーキとアクセルという例えからもわかるように、心身の健康を保つためには摂取するバランスが重要です。


 例えば、アレルギー、炎症、血栓においてオメガ3は抑制、オメガ6は促進の方向に働きます。また、細胞膜ではオメガ3が豊富であれば柔軟性があり、膜を介して必要なものや不要なものの出し入れがスムーズに行われますが、オメガ6が多いと膜は固くなり行われにくくなります。そのため、オメガ6過多の食生活はアトピーや花粉症などのアレルギー症状の悪化や体の不調につながります。


 メンタル面では、オメガ3は血液の流れをスムーズにすることで脳細胞へ栄養や酸素をしっかり運ぶことで脳機能の活性化につながります。また、脳細胞の膜を柔軟にすることでスムーズな神経伝達や思考の柔軟性にもつながります。

【オメガ3とオメガ6を含む食材】
 オメガ3は、アマニ油、えごま油、青背の魚油、野菜やナッツ類の中の一部に含まれています。オメガ6は、ごま油、べにばな油、コーン油、サラダ油、マヨネーズ、肉類の脂などに含まれています。


 オメガ3とオメガ6の摂取比率は、1:1~4が良いといわれています。現代の日本人の食事では、オメガ6を摂りすぎており、1:10~50に及ぶ場合もあります。市販のお弁当やお惣菜、市販のルーや調味料に使用されている油はオメガ6が多く、オメガ6は意識しなくても気づかないところで摂りすぎるくらい摂れています。そのため、オメガ3は意識して摂る必要がある油になります。

【ナッツから摂るオメガ3】


 オメガ3を含む食材の1つにナッツがあります。ナッツの中でも一番多く含むのがクルミです。


クルミには、ビタミンB群、ビタミンE、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛などのビタミンやミネラルに加えてたんぱく質、食物繊維などを含みます。また、オメガ3は酸化しやすい弱点がありますが、ビタミンEに加えて抗酸化物質のポリフェノール、メラトニンといった酸化を防ぐ成分を含んでいます。


 最近の研究発表では、心疾患、生活習慣病、腸内環境の改善、認知機能や食欲抑制などとの関連性が報告されています。


【秋の実を乗せたメンタルフード】


 クルミは秋の旬食材の1つで、9~10月が旬の木の実です。調味料には、腸内環境を整えるメンタルフードである発酵食品を使います。その一つの味噌は、寒仕込みしたものの食べ頃が10月頃となります。今回は、秋のメンタル食材を使って作る味噌クルミを乗せた焼きおにぎりです。

〈材料:作りやすい分量〉
・クルミ   ひと掴み
・味噌   大さじ2杯
・みりん  大さじ2杯

・おにぎり (食べやすい大きさのもので)

<作り方>
1.おにぎりを作る
2.クルミを手で小さく割る
3.味噌とみりんと2のクルミを混ぜ合わせる


・トースターがある場合


 4.おにぎりに、3を適量乗せて焦げ目がつく位を目安に焼いて出来上がり。 

 
・トースターがない場合


 4.フライパンに、クッキングシート又はアルミホイルを敷いて、3を入れる
 5.半分におにぎりを入れて、火にかける。
 6.焦げ目がついたら、5に4を適量乗せて盛り付けたら出来上がり。

写真は、フライパンで焼く例です。
調味料が焦げやすいので、早めにフライパンから上げておにぎりをゆっくり焼くのもよいです。

・味噌によって塩分濃度が濃い場合はみりんの量を変えて味を調節してください

・青紫蘇やねぎなどをトッピングしても美味しいです。

・ナッツ類は脂質を多く含むので、摂りすぎには注意が必要です。

 クルミは約28g(成人男性の一掴み相当)で2.5gのオメガ3を摂ることが出来ま す。これは、日本人の食事摂取基準2020年版(厚生労働省)での成人一日あたりのオメガ3摂取目安量を1.6~2.2gを満たします。


オメガ3をプラスするだけではなく、オメガ6を減らすことも忘れないでくださいね。


少し肌寒く感じる日には、こんなおにぎりでホクホクしながらメンタルを整えるはいかがでしょうか。

メンタルフードが皆さんの積み重ねの後押しとなりますように(^^)