こんにちは。スポーツファーマシスト・アスリードフードマイスターの曽根ゆかりです。spaceで毎月メンタルと食事についてコンテンツを配信させていただいています。今月もよろしくお願いします。

【メンタルフード】


人の心と体は密に繋がっています。「病は気から」と言われているように心の状態が体の病気を引き起こすこともあれば、体の病気が心の病を引き起こすこともあります。


体は食事によって整えることが出来ます。私たちの体は毎日の食事によって作られているからです。


体を整えて皆さんの日々の積み重ねを後押ししてくれるような食べ物を「メンタルフード」として紹介しています。

新年度スタートの4月は、本来ならわくわくする季節ではありますが、様々な活動がより自粛となり、メンタルコントロールに苦慮されている方は多いと聞いております。自粛によってできないことに目を向けても不安な感情が湧いてくるだけなので、自粛解除後に向けて何か準備できるテーマがいいなと考えました。今回は、外出自粛によってできた「おうち時間」を活用してメンタルにもウイルス感染予防にもつながるメンタルフードを紹介します。

【腸内環境とメンタルと免疫】


腸内環境とアレルギー(花粉症など)や免疫力との関係や、腸内環境が整うことで肌荒れの改善や健康の維持や向上につながるということは認識されるようになってきました。さらに、脳腸相関と言われるように脳ともつながっており、腸内環境はメンタルへも影響します。


メンタルにおいては、腸内環境が良いとメンタルの安定につながりますが、腸内環境が悪いとイライラや不安感につながります。また、腸内環境を良くすることで、腸内の免疫システムを活性化し、口や鼻などから侵入した病原菌やウイルスを便とともに排出することで体を守ります。


腸内では、善玉菌と悪玉菌がそれぞれの菌を増やすために闘っていて、食事のとり方などでその割合は変動します。腸内環境を良くするには、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要です。その善玉菌を増やすためには、発酵食品、食物繊維を含む食材、オリゴ糖を含む食材を摂るとよいといわれています。

【発酵食品とは】


発酵食品とは、人間に有用な微生物の力を借りて食物を発酵させた食品のことです。発酵食品にすることで、栄養価や保存性も高まります。日本の発酵食品の多くは調味料として使われており、米、小麦、大麦、大豆などにコウジカビを繁殖させたもので、醤油、味噌、みりん、酢、酒など日本人の食生活に欠かせないものです。


【日本古来の発酵食品】

  基本調味料である「さしすせそ」の「そ」にあたり、弥生時代から作られてきた発酵食品が『味噌』です。


味噌は、AとC以外のビタミン類、多種類のミネラルと必須アミノ酸、食物繊維などたくさんの栄養素が含まれており、発酵によってこれらの栄養素は消化吸収されやすくなっています。


  味噌は保存がきくので昔から重宝されており、平安時代には薬として、戦国時代には戦のときの軍の食糧である兵糧として使われていました。鎌倉時代に「みそ汁」としての利用が広まり、庶民の食事に組み込まれるようになったのは室町時代で、当時は調味料兼たんぱく質補給源の大豆を食べるための「みそ汁」でした。平均寿命が37、8だった江戸時代に75歳の長寿を保った徳川家康は、「五菜三根」のみそ汁と麦飯で健康を心がけたといわれています。また、発酵で生まれる褐色色素の毒素を溜めにくくするデトックス効果が注目されており、チェルノブイリ原発事故後には近隣の国々へ日本からの味噌の輸出量が増加したそうです。


【味噌】

味噌の原料は大豆と麹と塩のみで、これらを混ぜ合わせて発酵熟成させて作ります。


発酵の過程では、大豆に塩を入れることで腐敗を防ぎます。大豆のタンパク質やデンプンを麹菌の酵素が分解して、味噌の味のベースとなる「旨味」や「甘味」を作ります。この「旨味」や「甘味」につられて、乳酸菌や酵母などの発酵菌がやってきて「酸味」や「香り」を作ります。


味噌の乳酸菌はヨーグルトに含まれる乳酸菌と種類は異なりますが、同じように腸内環境を整えてくれます。ただし乳酸菌には即効性がなく、体内に溜め込むこともできません。腸内環境を整えるなどの乳酸菌の効果を得るためには、継続摂取して体内に取り込み続ける必要があります。

 
【味噌玉でみそ汁習慣を】


味噌を使った定番料理といえば「みそ汁」です。みそ汁は、汁に溶け込んだ栄養素も全て摂ることができます。しかし、出汁をとって、具を入れて…とお鍋で作ると思うと敬遠される方もいますが、お椀の中で簡単に作れます。今回のメンタルフードは、時間がない朝でもお湯を注ぐだけでできる自家製インスタントみそ汁「味噌玉」です。

「味噌玉」
〈材料〉1個分
・味噌 大さじ1弱
・魚粉など出汁となるもの 小さじ1/3
・具材(お好みの乾物)
 
〈作り方〉
1. お椀やボールに全ての材料を入れて混ぜる
2. 1を丸める
3. 食べる時は、お椀に2を入れてお湯を注ぐ



※具材


普段摂りにくい栄養素を含む乾物がおすすめです。自分で作る料理には得意不得意や癖があるため、栄養のバランスを補えます。
具材例として、私の場合は「まごわやさしい」の海藻類と胡麻が抜けがちなので、乾燥わかめ、すり胡麻、細切り高野豆腐、乾燥青菜(大根葉など)を使うことが多いです。
※出汁
味噌がだし味噌の場合は不要です。出汁の代わりに具材として鰹節を使ってもいいです。

・味噌や出汁の量は普段お使いの味噌の塩分濃度やお好みによって調節してください。
・まとめて多く作った場合は、タッパー等に入れて冷凍庫で保管してください。
・丸める際はラップに包んで丸めると手を汚さずに作れて簡単です。
また、具材が多い場合はまとまり難いのでラップを利用するとよいでしょう。


一人暮らしの方や朝が苦手な方は、味噌玉があると便利です。今回は、味噌玉 という形で紹介しましたが、もちろん、お椀の中に、味噌、ダシ粉、具材を各々入れてお湯を注いでも作ることはできます。

「おうち時間」を活用してこれからの準備と共に腸内環境を良くする習慣を身に付けたいですね。


みそ汁習慣で、メンタルの安定につながり、病原菌やウイルスから身体を守ってくれる腸内環境を作りましょう。


メンタルフードが皆さんの積み重ねの後押しとなりますように(^^)